「東京をビットコインの首都に」──世界2拠点目、四谷発・東京ビットコインベースが描く特区構想とは【仕掛け人・川合氏インタビュー】 | CoinDesk JAPAN(コインデスク・ジャパン)

「東京をビットコインの首都に」──世界2拠点目、四谷発・東京ビットコインベースが描く特区構想とは【仕掛け人・川合氏インタビュー】

2025年4月、東京・四谷に開業した「東京ビットコインベース(TBB)」が、国内外のビットコイナーから注目を集めている。ビットコイン(BTC)の理解と普及を支援する国際プロジェクト「Plan ₿ Network(プランビーネットワーク)」の一環として設立され、スイス・ルガーノ市に続く世界で2番目のBTC普及施設だ。現在は、イタリア・トリノ、エルサルバドル・サンサルバドル、イギリス・ロンドンでも同様の拠点準備が進められている。

国内外のビットコイナーが交流し、日本にビットコイン文化を根づかせることを目指すTBB。同施設の運営を担い、出資元である投資会社フルグル合同会社の代表も務める川合林太郎氏に、開業までの経緯や反響、今後の展望などについて話を聞いた。

訪問者の半数は海外、メタプラ経由で知ったという声も

開業から1カ月あまり、TBBには国内外のビットコイナーや観光客、投資家、企業関係者などが連日訪れている。X(旧Twitter)やメディア露出を通じて認知が広がり、川合氏によれば、これまでに約100人が来場。その半数を海外からの訪問者が占めているという。

来訪目的も多岐にわたり、施設のシンボルであるサトシ・ナカモト像との記念撮影を目的とする人のほか、施設が持つシェアオフィスの検討やTBBとの連携を視野に入れる企業関係者の姿もあるという。

〈施設の玄関前には、BTC生みの親・サトシサカモト像が鎮座〉また、企業によるビットコイン保有が世界的に進むなか、これまで暗号資産に関心がなかった株式投資家が、「メタプラネットの株価上昇」をきっかけにビットコインに興味を持ち、調べる過程でTBBにたどり着くケースも増えていると川合氏は述べた。

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フルグルが出資、リアルな拠点に込めた意味

施設の運営資金は、Plan ₿ Networkの財政支援パートナーである米Fulgur Venturesの日本法人、フルグルが全額出資している。川合氏は同社代表も務め、プロジェクトの実行責任を担う立場だ。

TBBは会員制ではなく、誰でも気軽に立ち寄れる場を理念に掲げて運営されている。ワークスペースやイベントスペースの利用には、シェアオフィスの入居契約を結ぶか所定の利用券が必要となるが、施設の見学会や一般開放日を設けることで、ビットコイン初心者や関心を持ち始めた人でも訪れやすい環境づくりを進めている。館内には、パソコンを広げて作業する人やソファーでビットコイン談議に花を咲かせる姿も見られた。

〈TBBの館内にはアート作品も多数展示、訪日者向けの宿泊施設も増設予定だ〉この施設はもともと、アートをテーマにしたシェアオフィスとして使われていた建物を改装して誕生した。四ツ谷駅から徒歩5分ほど。地下1階・地上4階建て、延床面積は約1300平米に及び、館内では絵画作品も多数目に留まる。現在は、ビットコイン関連企業向けのシェアオフィス機能も備えている。

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「ビットコインについて詳しく知らなくても、興味がある人なら誰でも来られる場所にしたかった」と川合氏。4月25日の開所式では、「国内外のビットコイナーが交流し、現実世界とつながる場所にしたい」と挨拶した。

ビットコインとの思いがけない出会い

意外なことに、川合氏がビットコインに本格的に関わり始めたのは比較的最近のことだ。「私は古参のビットコイン信者ではない」と自身を語る。

セキュリティソフト大手カスペルスキーの日本法人代表を務めた後、複数の企業で顧問を務めていた川合氏がビットコインと出会ったのは、約5年前。当時の上司から、ビットコイン関連事業への参加を持ちかけられ、海外取引所の日本事業展開を始めたことがきっかけだった。川合氏自身は当初、ビットコインに懐疑的だったものの、「学術的なタイプ」の上司が3年にわたる調査を重ねた結果、「ビットコインは将来的に基軸通貨となり得る」と確信したことが、関心を深める後押しになった。

〈TBBには、海外から訪れた開発者の姿も多い〉信頼する人物の判断に背中を押され、川合氏もビットコインへの理解を深めていったという。今では関連事業への投資も含め、自ら積極的にコミットするようになった。だからこそ、自分のように最初はビットコインに懐疑的な人でも、「安心して訪れて学べる場所にしたかった」と語る。

カスペルスキー時代の経験から川合氏は、「日本人は手に触れられないものに対して不信感を抱きやすい」と指摘。ソフトウェアを物理的なパッケージで店頭購入する人が一定数いることを引き合いに、目に見える実体への信頼が根強いと分析する。

こうした国民性を踏まえ、TBBのような物理的拠点が果たす役割は大きいと話した。先行開業したスイス・ルガーノ市の施設「PoW」では入居スペースが満室となり、毎週のように交流会が開かれているという。「ビットコインコミュニティは、先行者が排他的になりやすい傾向もある」と述べたうえで、対面での交流にはオンラインでは越えられない壁を乗り越える力があると分析。形のないビットコインだからこそ、人と人とが語り合える「リアルな場」が持つ意義が大きいと述べた。

8月にも施設拡大、ビットコイン特区へ

川合氏は、ビットコインを支えるのはマイナー、開発者、ノード運営者、フォロワーといった多様な人々の自発的なボランティア精神で構成されたエコシステムだと語り、TBBもその思想を受け継いでいると説明した。広告やマーケティング目的で独自トークンを発行するようなビジネスモデルとは異なる姿勢を強調した。

〈四谷にある東京ビットコインベース(TBB)〉今後は、訪日者向けの宿泊施設の建設や用地の拡張も予定しており、早ければ8月にも徒歩5分圏内に新たな施設を開業できる見通しだという。

そのうえで、四谷を起点に「ビットコイン特区」を形成し、かつては円建て取引で世界一のボリュームを誇っていた日本を「再びビットコインの首都にしたい」と野望を明かした。

「もう後戻りはできない」今こそ正しく学ぶとき

最後に、川合氏がビットコインをどのように捉え、TBBを通じて伝えたいメッセージについて聞いた。

川合氏はビットコインについて、インターネットやスマートフォンと同じく、社会に不可逆的に浸透した技術であり、もはやなかった時代には戻れないものだと指摘。「新しい技術は常に抵抗を受けるが、一度生活に組み込まれれば、受け入れを拒んだ側が不利になる」のが歴史の教訓だと述べた。

〈価値貯蔵と通貨というビットコインの本質に目を向けてほしいと話した川合氏〉ビットコインが国家の準備資産として保有され、通貨として実際に利用されている現在、その存在を否定するのは非現実的だとし、「早く気づいた人」ほど恩恵を受けられると述べた。

川合氏は、ビットコインを金と同じく「長期的に価値が上がる資産」と捉え、短期的な価格変動に振り回されて損切りするような対象ではないと強調。ビットコインの本質は、価値貯蔵と通貨という2点にあるとし、そのためには正しい知識を得る場所が必要だと強調した。

TBBは単なる物理的拠点ではなく、ビットコインが社会に根づくためのリアルな接続点となる可能性を秘めている。川合氏自身が語ったように、そのスパンは数十年に及ぶかもしれない。四谷から始まる潮流が、今後どこまで広がっていくのか注目される。

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