【為替】2024年7月と逆、円買い急逆流の条件とは? | 吉田恒の為替デイリー | マネクリ マネックス証券の投資情報とお金に役立つメディア

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円「売られ過ぎ」からの逆流で起こった1年前の急激な円高

米ドル/円が2024年7月に161円まで上昇した局面で、CFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の円ポジションは売り越し(米ドル買い越し)が18万枚と、過去最高規模に拡大した。しかしその記録的に大幅な円売り越しは、その後わずか1ヶ月程度でほぼ消滅、米ドル/円は約20円の大暴落となった(図表1参照)。

【図表1】米ドル/円とCFTC統計の投機筋の円ポジション(2024年5月~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成 最近にかけてはそれとはほぼ正反対で、記録的に大幅な円買い越し(米ドル売り越し)が続いてきた。では今回、円買い越しが激減に向かう中で、米ドル/円の急騰が起こることになるだろうか。

2024年夏の米ドル/円暴落が起こった2つの理由

2024年7月以降、記録的な円の「売られ過ぎ」が急に逆流したのは、主に2つの理由があったのではないか。その1つは、そもそも2024年に限らず、7月以降は過大なポジションを整理する動きが広がりやすかったということだ。

CFTC統計の投機筋の円ポジションは、2022、2023年とも円安が大きく広がる中で年央にかけて売り越しが拡大したが、いずれも8月にかけて一旦縮小に向かっていた(図表2参照)。このように、円買い戻しが広がる中で、2024年に限らず、7月の米ドル/円は陰線(米ドル安・円高)を繰り返した。

以上のように見ると、2024年7月からの円「売られ過ぎ」急逆流の一因は、例年通り夏休み前に過大なポジションを整理することだったのではないか。

【図表2】CFTC統計の投機筋の円ポジション(2022年1月~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成 それにしても、2024年は7月から過大な円売りポジションの整理が始まると、それがほんの1ヶ月で消滅した。なぜ、2024年はそれ以前の2年ではなかったほど、円売りポジション整理が本格化したのか。

2024年7月と2022、2023年の7月との違いに、代表的な投機筋であるヘッジファンドが損益分岐点の目安にしていると見られる120日MA(移動平均線)との関係があった。2024年7月は米ドル/円が反落すると間もなく120日MAも割れるところとなったのに対し、2022、2023年の7月の米ドル/円は反落、陰線となったものの、120日MA割れには至らなかった(図表3参照)。

以上のように見ると、2024年7月からの円「売られ過ぎ」逆流が拡大したもう1つの要因は、円売りポジションが損益分岐点を割り込んだことだったのではないか。

【図表3】米ドル/円と120日MA(2022年1月~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

1年前と逆、夏の米ドル/円急騰はあるのか?

これまで見てきたことについて整理してみる。2024年7月に円「売られ過ぎ」からの急逆流が起こった。その始まりは、例年と同様に夏休みが近づく中で過大な円売りポジションを整理する動きだったのではないか。ただ、やがて円売りポジションの損益分岐点を割れたことで損失拡大懸念が広がった。このため損失拡大を回避するべく円売りポジションの手仕舞い(円買い戻し)が殺到した。このため過去最高規模の円売りポジションがたった1ヶ月で消滅する中、米ドル/円は約20円もの大暴落となった。

CFTC統計の投機筋の円ポジションは、6月10日現在の買い越し(米ドル売り越し)が14万枚だった。一時に比べると、円買い越しは縮小したものの、それでも2024年までの円買い越し最高が2016年に記録した7万枚だったことを考えると、記録的な円の「買われ過ぎ」の状況が続いているようだ(図表4参照)。

【図表4】CFTC統計の投機筋の円ポジション(2005年~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成 これまで見てきた2024年の円「売られ過ぎ」と、最近は正反対のような状況にある。では、この先は1年前とは反対に円「買われ過ぎ」からの逆流による、米ドル/円の急騰が起こることになるのだろうか。

円買いポジションの損益分岐点割れに注目

2024年7月からの円「買われ過ぎ」急逆流は、1つには夏休み前の過大なポジションの整理、そしてもう1つは損益分岐点割れの影響が大きいと考えられた。前者については、今回も同様、夏休みが近づく中で、過大な円買いポジションが整理に向かう可能性は高いのではないか。では後者はどうか。

投機筋の代表格であるヘッジファンドの損益分岐点の目安、120日MAは足下で148円半ば。これを米ドル/円が上回り、円買いポジションの損失拡大リスクが高まるようなら、ポジションの手仕舞い、つまり円売り・米ドル買い戻しが拡大する可能性があるだろう。それは米ドル高・円安へどこまで戻る可能性があるかを考える上でも、大きな鍵を握りそうだ。

内容は参考用であり、勧誘やオファーではありません。 投資、税務、または法律に関するアドバイスは提供されません。 リスク開示の詳細については、免責事項 を参照してください。
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