【為替】「原油高=円安」シナリオを考える | 吉田恒の為替デイリー | マネクリ マネックス証券の投資情報とお金に役立つメディア

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52週MAからは150円前後までが限度か=円安

米ドル/円は4月にかけて139円まで下落する中で、52週MA(移動平均線)を大きく割り込んだ(図表1参照)。これは、経験的には複数年続く米ドル/円の下落トレンドが展開している可能性が高いことを示している。

【図表1】米ドル/円と52週MA(2000年~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成 上記の通りなら、トレンドと逆行する一時的上昇は目一杯展開した場合でも52週MA前後までというのが基本だろう。その52週MAは足下が150円程度なので、中東不安を受けた原油高に連れる形で米ドル高・円安が展開した場合も150円前後までが限度となる見通しになりそうだ。

円安150円には100米ドルへのWTI上昇が必要

次に原油価格と米ドル/円の関係を見てみよう。イスラエルによるイラン空爆から原油価格は大きく上昇した。それと米ドル高・円安の関係を前提に考えると、米ドル高・円安が上述のように150円前後まで上昇するためには、WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエイト)が100米ドルを目指して一段高になる必要がありそうだ(図表2参照)。では、WTIの100米ドルまでの上昇は今回起こるだろうか。

【図表2】米ドル/円とWTI(2025年5月~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成 WTIの90日MAは足下で65.4米ドル程度である。このため、100米ドルまでWTIが上昇した場合は、90日MAからのかい離率が50%以上に拡大する見通しになる。WTIの90日MAかい離率が50%以上に拡大したのは、2010年以降では2022年3月の1度だけで、ロシアによるウクライナ侵攻がきっかけだった(図表3参照)。

【図表3】WTIの90日MAかい離率(2010年~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

100米ドルまでのWTI上昇はウクライナ侵攻局面の極端な「上がり過ぎ」

ここまでについて整理してみる。米ドル/円が150円まで上昇するためには、WTIが100米ドルを目指す上昇になることが必要となる。WTIの100米ドルまでの上昇は、90日MAかい離率で見ると、2022年3月のロシアによるウクライナ侵攻をきっかけに起こった極端な短期的な「上がり過ぎ」の再現が必要という意味になる。

ホルムズ海峡封鎖などに伴う原油の供給リスクなどを考えると、ロシアのウクライナ侵攻で起こったような原油価格の極端な短期的「上がり過ぎ」が再現する可能性も考えられる。ただし、その可能性が高いと見るか低いと見るかは、見方が分かれるのではないか。

円安150円には大幅な原油高、金利上昇が必要

最後に米ドル/円と日米金利差との関係も確認してみよう。米ドル/円は先週(6月16日週)146円まで上昇したところで、すでに日米金利差から大きくかい離した(図表4参照)。この間の両者の関係を前提にすると、米ドル/円の150円までの上昇を正当化する日米2年債利回り差(米ドル優位・円劣位)は3.6%程度になり、この金利差を実現するためには、米2年債利回りは足下の水準から0.5%以上の大幅な上昇が必要になりそうだ。

【図表4】米ドル/円と日米2年債利回り差(2025年4月~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成 以上のように見ると、米ドル高・円安が150円まで戻るためには、原油価格も米金利もかなり大きく上昇する必要がある。それは過去にも起きたことがあったが、それほど簡単なことではないだろう。

内容は参考用であり、勧誘やオファーではありません。 投資、税務、または法律に関するアドバイスは提供されません。 リスク開示の詳細については、免責事項 を参照してください。
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