NTTグループでWeb3を推進するNTT Digitalが7月30日、同社が提供するWeb3ウォレット「scramberry WALLET」のサービスを2025年9月30日をもって終了すると発表した。> > 関連記事:NTT Digital「scramberry WALLET」がサービス終了──資産移行を呼びかけ> > > 多くのユーザーや導入事業者に影響を与えるこの決定について、公式リリースではサービス終了に至った具体的な背景までは言及されていなかった。この決定の背景、ユーザー資産への対応、そしてNTTグループの今後のWeb3戦略の展望について、CoinDesk JAPANはNTT Digitalに取材を申し入れ、このほどメールでの質疑応答の形で詳細な回答を得た。以下に、当メディアからの質問と、それに対するNTT Digitalからの回答全文を掲載する。 ──この度のサービス提供終了は、どのような経営判断に基づいたものか。特に、2024年8月に法人向け「scramberry WALLET SUITE」の提供を開始してから日が浅い中での決断となった背景について、より具体的な事業戦略上の理由を聞かせてほしい。**NTT Digital**「サービス開始以来、市場環境を注視しながら継続的な改善に取り組んでまいりました。しかしながら、今後の収益性の確保が極めて困難であるとの判断に至り、誠に遺憾ではございますが、サービスの提供を終了する決定をいたしました」──ユーザーには資産移行が求められているが、移行されずに休眠・喪失状態となる資産が発生する可能性も懸念される。全てのユーザー資産が安全に移行されるための具体的なサポート体制、および移行されなかった暗号資産やNFTへの最終的な対応方針について教えてほしい。**NTT Digital**「本サービスは、秘密鍵をお客さまご自身が管理するノンカストディアル方式のウォレットです。そのため、お客さまの資産に当社がアクセスすることは技術的に不可能であり、移行されなかった資産の処理(バーン等)も行うことができません。お客さまの資産へのアクセスを最優先に考え、ブランド公式サイトやアプリなどでの告知、移行状況に応じたお客さまへのご連絡、お問い合わせ窓口の設置など、全ての資産が安全に移行されるよう最大限のサポートを実施してまいります」──「scramberry WALLET SUITE」を既に導入している、あるいは導入を検討していた事業者への影響も大きいと推察される。これらのパートナー企業に対して、どのような経緯説明と対応策を提示しているのか。契約上の責任や今後の関係性についても含めて聞かせてほしい。**NTT Digital**「ご契約、また導入をご検討いただいていた企業の皆さまには、多大なご迷惑をおかけしております。現在、弊社担当者より個別に経緯をご説明の上、契約に基づき対応を進めております。各企業の皆さまの事業への影響を最小化するため、代替となるソリューションのご提案や必要な技術サポートなど、各社のご事情に合わせ真摯に対応させていただき、今後の関係性も大切にしたいと考えております。なお、契約中のお客さまとの契約内容については、守秘義務がございますため回答を控えさせていただきます。ご了承ください」──scramberry WALLETは、NTTドコモが中期戦略で掲げたWeb3事業の中核を担うサービスと認識していた。今回のサービス終了が、NTTグループ全体のWeb3戦略に与える影響と、今後のWeb3領域における事業展開や方針変更の可能性について聞かせてほしい。**NTT Digital**「今回の決定は弊社ウォレットインフラ事業の個別サービスに関するものであり、NTTグループ全体のWeb3戦略からの撤退ではございません。弊社は、創業以来ブロックチェーンを誰もが参加可能なオープンで確実にデータを管理できる仕組みととらえ、個人と個人、人と企業が安心して情報や価値をやり取り・交換できる環境づくり・社会実装にむけた新規事業開発に取り組んでまいりました。今回サービスは終了いたしますが、引き続き、だれもが安心して情報や価値をやり取り・交換できる環境づくりや社会実装に取り組んでいく予定です」──「Web3を意識させないUI/UX」を特徴として、マスアダプションを目指されていた。今回のウォレット事業の運営を通じて、現在の日本市場におけるマスアダプションへの課題や、ウォレット事業の収益性について、どのような知見や学びが得られたか。**NTT Digital**「弊社はscramberry WALLETおよびscramberry WALLET SUITEの提供を通じて、『Web3を意識させないUI/UX』はマスアダプションの必須条件であり、お客さまから一定の肯定的な評価をいただいていると認識しております。一方で日々の生活に浸透するユースケースや人々を熱狂させるWeb3ならではのユースケースなどの創出が不可欠である点も改めて認識いたしました。ウォレットはあくまでユースケースを利用するための入り口であり、それを使いたくなるような魅力的な『中身』とエコシステムがなければ普及は難しい、という点が最大の学びです。短期的な収益化のハードルは高く、長期視点でのエコシステム構築こそが事業成功の鍵だと考えております」
【独自】NTT Digitalが明かす「scramberry WALLET」サービス終了の理由──「NTTグループのWeb3撤退ではない」 | CoinDesk JAPAN(コインデスク・ジャパン)
NTTグループでWeb3を推進するNTT Digitalが7月30日、同社が提供するWeb3ウォレット「scramberry WALLET」のサービスを2025年9月30日をもって終了すると発表した。
多くのユーザーや導入事業者に影響を与えるこの決定について、公式リリースではサービス終了に至った具体的な背景までは言及されていなかった。
この決定の背景、ユーザー資産への対応、そしてNTTグループの今後のWeb3戦略の展望について、CoinDesk JAPANはNTT Digitalに取材を申し入れ、このほどメールでの質疑応答の形で詳細な回答を得た。
以下に、当メディアからの質問と、それに対するNTT Digitalからの回答全文を掲載する。
──この度のサービス提供終了は、どのような経営判断に基づいたものか。特に、2024年8月に法人向け「scramberry WALLET SUITE」の提供を開始してから日が浅い中での決断となった背景について、より具体的な事業戦略上の理由を聞かせてほしい。
NTT Digital「サービス開始以来、市場環境を注視しながら継続的な改善に取り組んでまいりました。しかしながら、今後の収益性の確保が極めて困難であるとの判断に至り、誠に遺憾ではございますが、サービスの提供を終了する決定をいたしました」
──ユーザーには資産移行が求められているが、移行されずに休眠・喪失状態となる資産が発生する可能性も懸念される。全てのユーザー資産が安全に移行されるための具体的なサポート体制、および移行されなかった暗号資産やNFTへの最終的な対応方針について教えてほしい。
NTT Digital「本サービスは、秘密鍵をお客さまご自身が管理するノンカストディアル方式のウォレットです。そのため、お客さまの資産に当社がアクセスすることは技術的に不可能であり、移行されなかった資産の処理(バーン等)も行うことができません。お客さまの資産へのアクセスを最優先に考え、ブランド公式サイトやアプリなどでの告知、移行状況に応じたお客さまへのご連絡、お問い合わせ窓口の設置など、全ての資産が安全に移行されるよう最大限のサポートを実施してまいります」
──「scramberry WALLET SUITE」を既に導入している、あるいは導入を検討していた事業者への影響も大きいと推察される。これらのパートナー企業に対して、どのような経緯説明と対応策を提示しているのか。契約上の責任や今後の関係性についても含めて聞かせてほしい。
NTT Digital「ご契約、また導入をご検討いただいていた企業の皆さまには、多大なご迷惑をおかけしております。現在、弊社担当者より個別に経緯をご説明の上、契約に基づき対応を進めております。各企業の皆さまの事業への影響を最小化するため、代替となるソリューションのご提案や必要な技術サポートなど、各社のご事情に合わせ真摯に対応させていただき、今後の関係性も大切にしたいと考えております。なお、契約中のお客さまとの契約内容については、守秘義務がございますため回答を控えさせていただきます。ご了承ください」
──scramberry WALLETは、NTTドコモが中期戦略で掲げたWeb3事業の中核を担うサービスと認識していた。今回のサービス終了が、NTTグループ全体のWeb3戦略に与える影響と、今後のWeb3領域における事業展開や方針変更の可能性について聞かせてほしい。
NTT Digital「今回の決定は弊社ウォレットインフラ事業の個別サービスに関するものであり、NTTグループ全体のWeb3戦略からの撤退ではございません。弊社は、創業以来ブロックチェーンを誰もが参加可能なオープンで確実にデータを管理できる仕組みととらえ、個人と個人、人と企業が安心して情報や価値をやり取り・交換できる環境づくり・社会実装にむけた新規事業開発に取り組んでまいりました。今回サービスは終了いたしますが、引き続き、だれもが安心して情報や価値をやり取り・交換できる環境づくりや社会実装に取り組んでいく予定です」
──「Web3を意識させないUI/UX」を特徴として、マスアダプションを目指されていた。今回のウォレット事業の運営を通じて、現在の日本市場におけるマスアダプションへの課題や、ウォレット事業の収益性について、どのような知見や学びが得られたか。
NTT Digital「弊社はscramberry WALLETおよびscramberry WALLET SUITEの提供を通じて、『Web3を意識させないUI/UX』はマスアダプションの必須条件であり、お客さまから一定の肯定的な評価をいただいていると認識しております。一方で日々の生活に浸透するユースケースや人々を熱狂させるWeb3ならではのユースケースなどの創出が不可欠である点も改めて認識いたしました。ウォレットはあくまでユースケースを利用するための入り口であり、それを使いたくなるような魅力的な『中身』とエコシステムがなければ普及は難しい、という点が最大の学びです。短期的な収益化のハードルは高く、長期視点でのエコシステム構築こそが事業成功の鍵だと考えております」